SET YOU FREE ライブレポート〜愛しのジェニーへ〜 

3月8日、大阪の海遊館のとなりの港でジェニーに出会ったんだ。
とても素敵な夜を過ごしたから、ここにその夜のことを書こうと思う。

愛しのジェニーに、感謝をこめて。


■前座:BABY&CIDER
学ランを着た二人組が「脱落者でいいじゃん!!」と歌いだした。
軽快なメロディにやさしい二人のボーカルが似合う。
MCで見せる2人のキャラクターは漫才のようで、好感が持てた。

サンボマスター
一緒に見ていた人に「普段はどういうの見てるの?」と聞かれたから、
素直に「ヴィジュアル系だ!」といったら、「じゃあ、今日はサンボマスター見にきたの?」と笑われた。
うわさの「非ヴィジュアル系」、サンボマスター。いつかは見る気がしていた。
最近はTVでよく流れているので、曲はほとんど知ってた。でも、びっくりしたー。
だって、「電車男の主題歌やったからアキバ系のロックとか言われるけどよ!オレらのロックはアキバ系とか
そういう差別するためのもんじゃねえ。俺らのロックはいつから人を差別するようになったよ!!」と怒ったんだもん。
本気で怒ってた。「ああ、この人達、売れるためにやってんじゃねェな」って思った。
「売れる」ってなに?「人気」ってなに?って思ったら、無性に叫びたくなった。
ROCKを殺したのは、誰なんだ!!って。ROCKがなにか分からないけれど、そう叫んだよ。心で。
あと、MCの時、しきりに「俺らが歌ったって、あの子は助けられない。銃声はとまらない。」って言ったんだ。
「あの子」って誰だろう?って思ったんだけど、
あつくるしい歌声を聞いているうちに、「あの子」が、あたしの心にもいたことに気づいた。
誰だって、すこし想像すれば、心に「あの子」がいるはずなんだ。

■TOMOUSKY
歌いまくる40歳!「こんなにたくさんの人前で歌えるなんて!!お願いだ!今日は俺を幸せにしてくれ!!」って
言って、歌いだした40歳!歌いまくって、よれよれになる40歳!
顔にしあわせって書いてあった。目は少年だった。
歌いまくる40歳、さすが・・・!!!

■LAUGHIN’NOSE
和製のシドか!!!!???
いでたちから、コッテコッテのパンク!!
すれすれのとこまでやぶれたジーンズ、着古したガーゼシャツ、安全ピンだらけの皮ジャケット、
頭には包帯がまいってあった、髪の毛はもちろんツンツン!!!!
でも・・・・・・・顔をよく見ると、おじいちゃん!!!!????
おいおい・・大丈夫かよ・・!!って思ったんだけど、おじいちゃんに負けた。。。
強かった。もう体とは別なんだろうな。精神で生きてるんだよ。パンクだもんな。

フラワーカンパニーズ
ここまで、前から2列目で見ていたんだけど、
この日は普段1000ぐらいのキャパのところに1500以上いれていたらしく、
常に満員電車状態で、なんていうか、「これで始まったらどうなるの?」って感じだったんだけど、
はじまったら・・・サウナ!!!とくにこのフラカンの時の押しはすさまじかった。
腕が身体にくいこんで、もどらなくなるかと思うぐらい。
フラカン目当ての人もけっこういたみたいで、人がやってくるやってくる・・・死ぬって!!!
ほとんど空気すえませんでした。ああ、呼吸困難ってこーやってなるんだなァってぼんやり思いました。
覚えていることといえば、最後の「よさっこい、よさっこい」ってやつで、
これがライブっちゅーより、お祭り!!!なにこれ!!超いいやん!!!って思った。
最高に楽しそうだったわけだが、身動きができず、よさっこい!コールができず・・無念。
機会があったら、どこかでまた見てみたい。

銀杏BOYZ
私が会いたかった人、峯田くんがいる。
じつはサンボマスターみてるときも、歌いまくる40歳に驚いているときも、ラフィンのおじいさまにつばをはかれているときも、フラカンでよっさこいやっているときも、
あたしは峯田くんのことばっか考えていた。
ごめんなさい。でも、許して。だって、ここ最近、峯田くんのこと考えない日なんてなかったんだもん。
私は、銀杏がでてくるまで生理痛で痛いお腹と腰をおさえながら、2列目を死守していたんだ。
だって、峯田くんを見たかったから。峯田くんに見てもらいたかったから。
「絶対、ここで見るんだ」って、ボロボロになりながら耐えたの・・・でも、
フラカンで頭がポーとしちゃった。「ああ、あたしこのままじゃ銀杏見ている最中に倒れるな」って思った。
だから、下がった。途中で倒れるよりも、最後まで見るほうをとったんだ。
でも、本当はくやしかった。せっかく銀杏の前まで我慢したのに、なんでさがんなきゃいけないんだろう。
生理の馬鹿、あたしの馬鹿、、、これが一生のチャンスかもしれないのに・・!!ってくやしかった。

結局、私は一番うしろにいった。
そこで、自分の心臓の音がきこえるぐらい緊張しながら待った。

客電がおちて、峯田君がでてきた。すこし頭が見えた。

・・・・・・・・・・・・峯田くんだ!!!!どうしよう、峯田くんだ!!
何度も夢に描いてた銀杏BOYZのライブがはじまった。
頭がからっぽになった。痛かったお腹のことなんて忘れた。
心が体から離脱した・・・ミラクル!!!
歌った、腹から声出して歌った。峯田くんがちかくにきた。
ステージから飛び降りて、下手の螺旋階段によじのぼった峯田くん。
客にツバはいてる・・・なんだ、こいつ、本当にめちゃくちゃだ!!
頭おかしいんじゃないのか!でも、横にいるよれよれのTシャツの男の子も、ジッパーに載ってそうなおかっぱの女の子も
あきらかに場違いなおっさんまで、発狂してる。叫んでる。なんなんだ!なんだこれ・・・・めちゃくちゃだ!
みんな、めちゃくちゃだ!みんな、峯田くんになろうとしている。

峯田くんがうらやましいんだ。
裸のままの、少年のままの、青春そのものの、峯田くんが心底うらやましいんだ。
こんなこと言ったら、たぶん峯田くん、嫌がるけど、うらやましいんだよ。
そうしたいのに、そうはいかないから、峯田くんに夢を見ている。

「聞こえてますか?
 こんなズーズー弁(東北弁)でしゃべってんから、なにいってんだかわかんねぇかもしれないけど、聞こえてますか?」

「生きるってなに?自分ってなに?
 ・・・・そんなん分かるわけねぇよ!!!そんなもん。
 誰だって、笑って健康的に生きてぇよ。
 でも、そうじゃねえんだろ?悩んでるんだろ?」

「生きろよ。リストカットしたっていいよ。生きろよ。
 答えなんて、わかんねえけど、生きてれば、俺ら、また会えるから。
 俺はあんたらにまた会いたい。」

「聞けばさー、大阪のライブハウスがどんどんなくなっているって言うじゃねぇか。
 俺らにとって、ライブハウスはあんたらと会う場所なわけで
 あんたらにとって、俺らの音楽聴いて、ブッサイクな顔してワーワーする場所なわけで
 そういう場所がなくなっていくんだってさ。
 俺が建てたわけじゃねぇから、別になくなったって関係ねぇんだけど、あんたらに会えないのは困る。
 もしかするとさ、あと何年後かに日本からライブハウスがなくなるってことあったら。世の中、
 なにが起こるかわかんねぇから、もしかするとそういうこともあるかもしれない。
 もしなくなるなんてことがあったら・・俺はあんたらの、一人の一人の家の玄関の前で歌ってやるよ。
 あんたらに会いたいわけ。俺はあんたらに会いたいだけなわけ。」

「前このライブハウスでやった時、きていた女の子2人、今日きてるかなァ。
 きてなくたってかまわないよ。でも、俺は今日その子たちのために歌うんだ。」

「東京という曲を歌います。この曲は別れた彼女と俺の曲だけど
 いろんな会場で歌っていくうちに、俺とあんたらの曲になった。
 今日は東京ではなく、大阪に変えて歌います。今日だけだからね。」

「明日なんかいいことないかなっていったってさ、明日なんて、たいしたことねぇべ。今日と一緒。
 今日とかわらねえ、おもしろくない明日がくるだけ。今日と同じ明日。明日と同じ今日。
 なにも変わらない。わかってる。わかってんだ。」

「俺んちの実家は電気屋で、親父が“お客様は神様です”っていうわけよ。俺はわかんなかったけど
 今、本当に思うな。今日、ここに来てくれてありがとさま。」

「知ってんだよ。何日も前から徹夜してチケットぴあ並んでチケット買って
 仕事ある人とかは、ネットでオークションで5万だして買ったって、俺知ってんだよ。
 あんたら、なにしに来たの?楽しんで帰れよ。会えてうれしいよ。」

「ありがとさまでした。」

「また会おう。また絶対会おう」

峯田くんは、MCが長い。なまった発音が会場に笑顔を作る。
峯田くんは、一人一人にしゃべってるみたいだった。
もちろん私にも、きっと語りかけてくれてた。

「東京」を聞きながら、池袋の景色を思い出した。
「BABY BABY」を聞きながら、苦い経験がよみがえってきた。
「日本発狂」を一緒に叫びながら、少しだけ強くなれた気がした。
まるで曲があたしの一部みたいだ。笑って、泣いて、拳をつきあげた。
生きている喜びを、感じながら。

本編が終わって「やるなら今しかねーべ」という声のアンコールが起きた。
最後に、峯田くんが歌ったのは「なんとなく僕達は大人になるんだ」だった。
歌っている途中に峯田くんは、客に「帰れ!!終電がなくなるぞ!!帰れ!」って叫んだ。
でも、みんなステージから目を離さない。動かない。手拍子をやめない。
峯田くんは本当に困った顔をした。泣きそうな感じ。「俺だってひっこみたくないんだからよォ」と言いながら。
そして、「帰らないなら、一緒に歌ってください。」と言って、客席に背中をむけてまた歌いだした。

あたしはうしろのほうで、その光景を眺めてた。
そして、2列目で見れないことをくやしがっていた自分を恥じた。
どんなにうしろで見たって、今日のライブの感動は同じだったと思った。
すべてが終わったのは23時過ぎ。
感動で体がしびれた夜が終わった。





ねェ、ジェニー。
僕らであったばっかりなのに。これが最後なの?
ねェ、ジェニー
絶対忘れないよ。
この夜のことを絶対に忘れない。
どんなに景色が変わっても、僕はあの海を眺めるたびに君のことを思い出すよ。
ありがとう。


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大阪ベイサイドジェニー、16年間おつかれさまでした。
私にとって、忘れられない場所になりました。
3月いっぱい最後まで素敵な音楽を届け続けてください。